現在が2002年だから、24年前に出た大学受験参考書である。
この参考書自体はすばらしい本だと思う。
第1編では、基礎文型を覚えさせる。次に第1編では「やさしい英語で書く練習」「主語のとり方や、くだけた日本語、漢語的な言い回しなどについて、やさしく考え、やさしい英語で書くくふうを示します。」とあり、一見難しそうな和文を見事に英訳してみせる。
さらっと見た感じでは、はっきり言って、大学入試対策用参考書の範疇を越えていると思う。 ていうか、当時の高校生、予備校生、これで受験勉強して大丈夫だったのか?
この本でまともに勉強したら、英作文に異様に時間をかけてしまうことになるが、他の教科との時間配分を考えると、効率悪くないか? それとも24年前は、英作文への配点比重が高かったのか?
ところで、「いくら24年前とはいえ、ここまで古いか」と思うような文が有る。 当時でも相当ヘンだったのではなかろうか。いくつか紹介してみる。
タイトルは私(やそはち)が適当につけた。
185. 3人の女事務員たちが、お茶を飲みお菓子を食べながら、映画のことを話合った。(やそはち注:「近ごろB.Gというが」と岩田先生はお書きになっています。
*「女事務員」office girl である。近ごろB.Gというがbusiness girl は商売女の意味に使うらしい、用例あり。
151. なに、手紙をタイプでたたく? そんなこと、へのかっぱだよ。(やそはち注:小説などではたまに見かけますが、現実に使われているのを聞いたことがありません。一度会話で使ってみたいものです。「へのかっぱ」)
3. だれだい? いよう、だれかと思ったらお富さんじゃないか。266頁
245. 「へい、かさ、直りました」「おいくら?」「へえ、30円でいいです」
2. 「会に出席できないんだ、すまん」「なぜ」「実は、ちょっとゲルピンなのさ」
*ゲルピンshort of money
3. おかあちゃん、おだ賃をくれなければ、おじちゃんのところまでお使いに行ってやらないよ。
1. 彼女は美人どころか、お化けだ。(やそはち注:ちょっと前の英作文参考書の例文は、このように女性の年齢や美醜をとやかく言うものがよく有ります。フェミニストのかたが見たら激怒しそうですね。最近は少ないようですが。)
3. 聞くところでは、おしかという女はそうとうがめついらしい。221頁
「おしかという女」 the Oshika woman.
161. 明日子(あすこ)の乙夫(おとお)を見る目つきからすると、明日子は乙夫が好きらしい。(やそはち注:このあと、問題の解き方の解説が詳細に書かれています。そして最後に「なお乙夫はドイツ式にOtto としてもよかろう。」なぜわざわざこんな名前を使うのでしょうか?
5. 「奥さん、窓をあけてもいいでしょうか?」「どうぞ、少しむんむんしますわね」238頁
*「むんむんする」stuffy.
190.「あなた、今夜はしっかりやってね」(やそはち注:この2文を続けて読み、私もなぜかむんむんしてきました。私の脳内配役では、「奥さん」は五月みどりです。むんむん)
4. おい亀吉、かけっこやろうか? むこうの小山のふもとまでどちらが先につくか、やってみよう。
4.この磁器をみて私が楽しい気持ちになる以上、偽者であろうとなかろうと、私はかまわぬ。
15. 「さあ髪を結っておきなさい。お昼からお客様があります」と母は娘に言った。142頁
31.「かわいそうに、その女性は痛がって、悲鳴をあげた。」(やそはち注:生娘(きむすめ)の水揚げが無事終わりました。)
54. 満員のバスですもう取りふたりの間にはさまって、ひどく苦しかったよ。
242.「おとうさん、あすこにある、あのお面が笑ったよ」「何を言うのだ。きっとお前の気のせいだよ」(やそはち注:このお父さんは、きっとこの数分後に、お面に食い殺されたことでしょう